今月のコラム


2001.2

地域活性化としての

ミュージアムショップ創業顛末

 

有限会社MCA 

中小企業診断士 小松俊樹

 

平成12年8月、市内関原権現堂に新潟県立歴史博物館がオープンしました。同博物館は、長岡の地域活性化、広域観光の拠点として期待を集める久々の大型施設です。

近年、美術館、博物館めぐりが知的レジャーとして周知されるようになり、貴重な収蔵品や企画展示に加え、館内の売店(ミュージアムショップ)で販売されるレプリカや関連の記念グッズが人気を集めています。県も同博物館の魅力作りとしてミュージアムショップが欠かせないと判断、地元で出店業者説明会が開かれたのは平成11年2月のことでした。

結果は、手を上げた者は皆無という惨状。まあ、景気低迷の昨今、ミュージアムショップなどという毛色の変わったニュービジネスを立ち上げるなど、もっての外というところでしょう。

その一方で、危機感を募らせた県の強い要望もあり、10月、長岡商工会議所はミュージアムショップ経営の研究会を発足させました。

私もメンバーに加わり、ショップの経営計画づくりを担当することになりました。しかし、ミュージアムショップの経営指標などどこにもありません。全国の博物館、美術館に実情を問い合わせるなど悪戦苦闘の末、何とか納品にこぎつけました。

ところが、その後が大変。なんと、出資、会社設立、経営参画の話に発展したのです。博物館など関心の薄い私でしたが、結局、何事も経験と考え、全て引き受けることにした次第です。

日頃、中小企業診断士としてベンチャーの起業支援、ニュービジネスの相談に与ることも多い私ですが、まさか自分が二度目の創業を経験するなど考えもしませんでしたネ。

おかげさまで、「ミュージアムショップ縄文」は何とか8月1日の開館に間に合い、心配された売上、利益も初年度目標の達成はほぼ確実という見通しとなりました。

現在、開業率の低下が心配されています。昭和61年以降、廃業率が開業率を上回るようになり、平成3年から8年にかけての年平均開業率は2.7%、廃業率は3.2%という状態が続いています。

都道府県別にみると、新潟県の開業率は全国ビリから3番目。新潟県人は冒険を好まず、何事も人のフリを見てから、という県民性の故でしょうか。ミュージアムショップ事業者募集の結果もリスクをとらない長岡人気質のしからしむるところといえるかもしれません。とすれば、長岡の地域活性化はまず、この気質の打破から始まるのではないでしょうか。

ところで、当社の出資者には原信さんが名を連ね、社長に旭タクシーの土屋先輩を担いでいます。さすが、というべきか、長岡の活性化に自ら模範を示さんとする気概あふれるメンバーが稲門系には多いようです。

最後にPR。「ミュージアムショップ縄文」には、新潟県の歴史・文化、火炎土器に象徴される縄文ワールド、折々の企画展示にちなんだ記念グッズなどを数多く取り揃えています。県立歴史博物館を訪れたら是非、二階受付コーナー脇のショップに立ち寄り、2000円以上のお買上を。

 


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