粟ヶ岳へ行く


台風が接近中の9月9日、越後平野の展望台、粟ヶ岳に登った。

登山口の加茂水源地は、朝からギラギラの太陽が照りつけ、

乾燥した熱風が、体中の水分を奪い去るかのように、吹き寄せていた。

予定通りのフェーン現象だ。

こんな日は、展望日和。

くそ暑くてウンザリだが、登るしかないのだ。

2リットルのペットボトルを飲みながらの3時間半。

ようやく到着した山頂からは、

目の覚めるような青い空と白い雲、

秀麗な米山が遠望され、

黄金色の水田と点在する街、山々の深緑が、

目に鮮やかに飛び込んできた。

 

登ってきた道を振り返ると、

眼下に粟ヶ岳ヒュッテ、

そして七谷の田んぼが黄金色に輝き、

その先に広がる越後平野と弥彦の山々、

かなたには日本海に浮かぶ佐渡の山々が意外な高さで臨まれ、

地図を広げたようなコントラストを描いていた。

目を東側に転ずると、

普段あまりなじみのない下越の山々が、

意外に険しい岩肌を見せていた。

中でもやはり風格を漂わせていたのが、

御神楽山である。

越後平野から眺めると、

粟ヶ岳のすぐ隣に位置する守門岳であるが、

ここからは意外に遠くに見えた。

いつも登っている大岳への稜線がのびやかな美しいカーブを描き、

大雪庇のできる東面の切れ込みが手にとるように見えた。

空には、低層の雲と高層の雲が別々の動きを見せて、

台風の接近を予感させていた。


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