恋人たちの季節
つくしを撮影していると茎の部分の透明感のある肌色が
なんともいえずセクシーに感じられる。
その肌の白さ柔らかさをどう表現したらいいか、
それに挑戦して土手に這いつくばっていたものだ。
透明感を出すためには目線をつくしの高さまで下げなければならない。
そうして光が後方から当たる角度を選ばなければならなかった。
といって、直接太陽光が当たるのでは画面が硬くなりすぎる。
しかも真横からの構図では間延びしてしまうのだ。
私のような虫好きには雪融けがまちどおしくてしかたない
木々が芽吹く前の日の当たる斜面には
今がチャンスとばかりに
いっせいに春の花が咲き乱れる
スプリング・エフェメラル
春の妖精たちである
ある日私はどうしてもカタクリが寄り添い
ささやきあっているようなシーンを撮りたいと考えた
里山に入るとつらみつぶしにカタクリを見て回った。
しかしカタクリは斜面に多い
そしてすべてのカタクリが斜面の下に向いているのだ
私はやむをえず暴挙に出た
越えてはならぬ一線を越えていた