燃える一瞬の秋 壮絶な美


 

高山を錦に染めた紅葉は

ある日忽然と里にやってくる。

谷間や水辺に枝を張り出したカエデが

山から下りた冷気に包まれて

一瞬の秋を

鮮やかに演出する。

誰が見ても文句なく美しい

平凡な、されど普遍の美がそこにはある。

それは

滅びゆくものの美かもしれない。

華やかな舞台で

最高の色をみせた瞬間

死が訪れるのだ。

死化粧とも言うべきか。

凍りつくような壮絶な美。

一瞬の秋、壮絶な美。

 

 

 

 


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