初冬の清澄房散策
燃えるような錦秋が足早に駆け抜け
次第に枯葉色に包まれるようになると
毎日のように氷雨が続き
ある朝目覚めると、やけに明るいことに気づく
外を眺めると、そこはもうモノトーンの世界
あらゆるものが、この日から
白と黒っぽいものの2種類になってしまうのだ。
一見してモノトーンの世界でも
覗き込んで見ると
南天の赤い実や緑の葉がのぞき
なぜかほっとするのだ
色あるものが己だけでないことに気づいて・・・
見渡す世界はモノトーン
雪国からは版画家や、墨絵画家が大勢誕生しているそうだ
当然のことである
南国生まれの極彩色とは
正反対の世界である
そして
仙人もやはり雪国ならではである
夏の間、あれほど生命を育んだ渓流も
雪に包まれると
死んだかのように鉛色に沈む
もちろんそこにはじっと春を待ついろいろな生命が存在するのだが
そんなことは忘れてしまうのだ
ケヤキの大木も冬景色である
しかし
下から見上げると
空一面にこんもりと繁った小枝が広がり
長岡の三尺玉を目に浮かべてしまうのだ
考え様では
一年で一番存在感を誇示できる時かもしれない。