雪割草の栽培法

雪割草(ミスミソウ)は本州の東北地方より西と九州地方の北部に分布しています。自生地は山の斜面の雑木林のなかで、春は日光を十分に浴び、夏は木々の緑で覆われ、冬は落葉に包まれて冷たい風や雪から守られています。
3〜4月に春の訪れにさきがけて色鮮やかな花を咲かせます。花が終わると新しい葉は展開し、秋には次の年の花芽をつくり、冬を越していきます。

雪割草は根が多く伸びるので、鉢はいくぶん深めで素焼き鉢など通気性のよい鉢を用います。
用土・植え方 滞水に注意し、水はけのよい用土で、硬質鹿沼土、赤玉土、軽石などの混合したものを用います。
当ファームは中粒の鹿沼土・日光土・和田砂の割合です。
植え付けは、鉢底にゴロをしき、根をよく広げ、芽の半分くらいは出るようにして植えます。また、元肥としてマグアンプKを根に触れないように埋め込んでおきます。根はよく水洗いして長く伸びた根は途中で切り、整理します。
置き場所 自生地は、春はよく日が当たり夏は木陰になる場所です。
春先から新葉が開くころまではよく日の当たる棚上などに置きます。この時期によく日に当てないと新葉の茎が従長してしまいます。五月の葉桜の頃から秋までは直射日光に当たらない場所に鉢を移すか、寒冷紗等で遮光してやります。特に夏は遮光80%で風通しをよくして蒸れには注意します。冬は、風の当たらない場所に鉢を置き、鉢の凍結や乾き過ぎから守ってやりましょう。
灌水 1日1回の灌水を基本にします。花後、新葉が開くころは特に水切れに注意します。梅雨時の水やりは控えめに行い、また真夏は早朝もしくは夕方の灌水にします。冬の間も水切れには注意します。
肥料 植え付け時に用土にマグアンプKを埋め込んでおきます。春と秋にはハイポネックス1000〜2000倍程度の薄い液肥を月2回与えます。増殖を目的としたものには、油カスの置き肥を春と秋に与えます。置き肥は夏の間は取り除きます。あまり与えると根腐します。
病害虫防除 ネマトーダの病害がよく見られます。根に小さなコブがたくさんできるのでわかります。コブのできた根は切り取り処分し、根コブセンチュウの薬バイデートを用土の中に入れて植え付けます。これで根コブの被害は少なくなります。ネマトーダ以外の病害はあまりないようです。他の山野草を消毒するときに一緒に薬剤を散布しておきます。
植え替え 植え替えは、1〜2年に1回、花後か初秋に行います。花後の植え替えは開き始めた新葉を傷めないようにします。秋の植え替えは根の活動がよく冬までには活着します。いずれの場合もネマトーダの発生に注意し、古い根は整理して新しい用土に植えます。
殖やし方 殖やすには、株分け、根伏せ、実生などの方法があります。株分けは、植え替えのときに大きくなった株を割って行います。根伏せは、株分けのときに長く伸びた根を2〜3cmくらい切り、根茎が隠れる程度に覆土しておきます。時期は春より初秋の方がよく、翌春に大きな葉が2枚でれば、次の年には花が見られます。(春に根伏せしたものは夏に腐りやすい)
実生は、一度にたくさんの苗が採れ、また人工的な交配によって新しい花が見られる可能性もあって楽しいものです。
雪割草は花後コンペイトウのような種子を着けますが、自然にこぼれ落ちる前に採取して採り播きします。種子は乾燥すると発芽率が悪くなるので、早めに播きます。播き床はミジンを抜いた細かめの鹿沼土や赤玉土などの混合土か、そこにミズゴケ粉を混ぜたものにし、播種後は種子が隠れる程度に覆土します。発芽は翌春ですが、それまでは日陰に置き、水切れさせません。3〜4年で花が見られるようになります。