調整インフレ政策とインフレ・ターゲット政策と
いよいよ失業率も5パーセントを越え、株価最安値更新が続き、経済失速が現実のものとなってきました。日銀は一段の金融緩和を打ち出しましたが、ここにきてよくわからないのは、調整インフレとインフレ・ターケ゜ットの区別です。
日銀速水総裁は、量的緩和策を発表する一方で、インフレ・ターゲット政策はとらないと語りました。これをうけて小泉総理も加藤紘一氏もインフレ・ターゲットは危険だと語っています。その一方、竹中経済相や山崎幹事長はターゲットも辞さずと発表しています。
マスコミの報道では、 産経、読売は例によって財界よりですから、ターゲットを推し始めましたが、朝日、毎日は日銀への政治介入を非難し、ターゲット悪説を展開しています。
その他の政治家の発言を聞いていると、両者を同意語としている人も多いようです。
いったい、どうなっているのでしょう。もちろんここでは、言葉の定義をするつもりではありません。
いったい金融政策でデフレを解消することができるのでしょうか。この答えは恐らく「できない」というのが正解でしょう。インフレにしてもデフレにしても、一度その流れが始まると、どんどん流されて拡大をしていくのが普通です。ですからそれを抑えようとして、経済政策を打ち出すと考えるのが普通です。インフレであれば金融引締めで、デフレであれば財政支出で。
しかしインフレの時に金融引締めをしてもデフレになるのでしょうか。消費者がインフレを実感し、値上がりしないうちに買いあさろうと考えている時に、金融政策だけで買い控えになるものでしょうか。どうやら流れを逆流させることはできないのではないでしょうか。
この正論はあくまで正しいのです。しかし、だからといって中央銀行が無能であることを宣言してしまうことは、責任放棄と言われてもしかたないでしょう。
できないことをやる。おまえがやるしかない。おまえならできる。そういっているようなものです。
そもそも政府は10年間に及ぶ景気対策で、もはや手を上げました。あとは日銀にすがりついているわけです。しかし、できないことをやるには勇気がいります。リスクが伴います。やることのリスクと、何もやらないことのリスクを計算して、タイミングを計っているというところでしょう。
やればハイパーインフレのリスクが高まります。これは年金生活者の破綻を意味します。やらなければデフレスパイラルが続きます。マイナスが大きくなればプラスに転換するのはより困難になるでしょう。時間との戦いでもあるのです。デフレては勤労世代が傷つきます。これは世代間闘争でもあるのです。
まもなく9月危機が訪れると言われています。企業の中間決算の発表です。銀行に捨てられた企業は、この株安では資金繰りができず、破綻するでしょう。その時どうなるか。まるで週刊誌みたいですね。結果を見るのが怖い、というところです。