今さらだが、仙人とは何か

 

今さらだが、仙人とは何かご存知であろうか。

おそらくほとんどの日本人が、仙人という言葉をなにげなく使っているが、本当は何かよくわからない、のではないだろうか。

こういう時はまず、辞書を開いてみるものである。

「仙人」とは、俗界を離れて山中に住み、不老不死で、飛翔できるなどの神通力をもつといわれる人。

この解説は一般的な理解に近いものであろう。山中に住むことは当然だが、どうやら不老不死がポイントのようである。

また、「仙人」とは、道教で理想とされる神的存在、ともある。

これによると、どうやら宗教的存在のようである。では、道教というのはいったい何であろうか。

「道教」とは、中国古代の民間信仰を基盤とし、不老長生、現世利益を主たる目的として自然発生的に生まれた宗教。とある。さらに、後に仏教への対抗上、神仙説など道家の思想、および仏教の教理儀礼を取り入れた。ともある。

かなり怪しげな感じがする。現世利益と不老長生とはご都合主義にちがいない。人気取りのために、道家の思想を組み込んだというところであろうか。

では、道家とはなんなのだろうか。

「道家」とは、中国の諸氏百家の一つであり、老子荘子の説を奉じた学者の総称。万物生成の原理である道の思想を基礎に、無為自然による処世を説いた。とある。

どうやら少しありがたそうな内容が出てきた。ちなみに、老子は春秋戦国時代の楚の思想家であり、儒教の人為的な道徳、学問を否定し、無為自然の道を説いたという。

これらを総合すると、無言の称する仙人の姿がおよそ浮かび上がって来るようである。まとめてみよう。

「越州仙人」とは、俗界を離れて越州の山中に住み、俗界を支配する人為的な道徳、学問を否定して、無為自然の道を説く自称思想家であり、不老不死をイメージする神秘的な存在でもある。

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