笹ヶ峰高原、虫地獄の変

大それたタイトルであるが、心配には及ばない。

今年は、いやこのところの夏は大変暑く、長岡でも35度を越えることがザラである。37度、38度と聞いても、さほど驚かなくなってしまった。

それに冬が暖かいことも、もう10年来である。大雪などという言葉も死語になりつつあるようである。

これだけ気候が変わってしまうと、生物界にもそれなりの影響が出て当然であろう。あたりまえのことである。

しかし、今年の8月14日から3日間、毎年訪れている笹ヶ峰高原でキャンプをしたのだが、自然界の異常さが目についてしようがなかった。

まずは虫の大発生である。

キャンプ場にはハルニレの大木が多く、その下でキャンプをしたのだが、パラパラパラパラとのべつまくなしにタープに降って来るものがある。雨かと思うとそうではなく虫の糞であった。恐らくスズメガの幼虫だと思うが、そのためにタープの外には出られないし、物を置けないのである。

さらに足元からは、テントウムシの幼虫と、よくわからないがある種の小さなイモムシが、これまたのべつまくなしに這いあがってくる。テントウムシなどは、這い上がってきたあげくに、そこで蛹になってしまうのである。

無言の娘は無類のテントウムシ好きであるから、狂喜乱舞したのだが、捕ってもしようがないからとキャッチアンドリリースの連続である。こんなことは過去10年間1度゚も無かったことである。

さらに牧場の遊歩道を散歩した時であるが、草むらを歩くと、足元からバッタがバタバタバタバタと連鎖反応的に飛び出すのである。イナゴの仲間のようであるが、とにかく足元の草が揺れ動いて見えるほどであった。踏まないようにと思っても、ゆけどもゆけどもバッタの海であるから、かまわず歩いた。いったいどれだけ踏み殺したことかと心が痛むのだが。

春からの好天高温で食草の生育がよかったものか、エサの昆虫が大発生したものかはわからないが、異常な発生であったことは間違いない。それだけ天敵の鳥が減っているのだろうか。

さらに気づいたのは、いつも笹ヶ峰で鳴く蝉はコエゾゼミであり、標高の低い池ノ平ではエゾゼミの蝉時雨が聞かれるのだが、今回はなんとアブラゼミなのである。これでは平地と変わりないではないか。

トンボではアキアカネが少なかった。恐らくアキアカネは高谷池あたりで避暑しているのではないか。

また、鳥の方では、盛んにさえずっているのがメジロであった。これも平地性であり、10年ほど前に無言が「おはようウォッチング」に参加して見たと報告した時には、ここにはいないはずだから誤認だと言われたものである。

ざっと見ても、高温化の現象は断定できるだろう。問題はこれが一年限りになるのか、大きな変化が起きるのかということであろう。

もちろん冬は来るだろうし、笹ヶ峰の厳しい冬は簡単には越せないはずであるが、気候が安定的に猛暑暖冬ということになれば、いずれは全てが変わると考えていいだろう。

笹ヶ峰牧場の歴史も、高田藩の新田開発に始まり、入植しては離村するという厳しいものだったそうであるが、時代が変わって牧場となったようである。さらに時代は変わり、気候が変わり、笹ヶ峰の景色が大変貌する日も遠くは無いのかも知れない。

本文とは関係なく、美しいルリボシカミキリ

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