49.今年の(平成24年)山の歩き始め、南蛮山

   〜南蛮山はまだ2メートルの銀世界〜


十方台付近からの南蛮山(左)〜山頂広場(中央の平面)〜大倉山(右)−'12.3.11 


◆ 3月、ようやくの晴れ間に

 昨年、高齢者仲間で「十宝山の会」を立ち上げて、今月下旬、国上山〜弥彦山の縦走が計画されている。今年最初の山計画であり、スタート時からの落伍では恥ずかしい、そんな思いで、足慣らしのチャンスを願って天候回復を待望していた。  3月11日朝から、珍しくも伝えられていた予報以上にうららかな上天気となってきた。これをのがす手はないと、取るものもとりあえず近くの南蛮山を目指した。世の中、東日本大震災一周年当日ということで、テレビもマスコミも追悼一色で、日本中が祈りの雰囲気の中、いささか気が引けないわけでもなかったが……まあいいやと。

◆ まっさらな雪原に、かんじきの足跡刻む

 朝8時過ぎに急きょ決断して、自宅を出発したのが9時。南蛮山への除雪の効いた最寄りの登り口、長岡グリンーンヒルゴルフ場手前に着いたのが9時20分。道沿いの2m近い雪の壁ぎわに駐車した。風もなし、空は見る見る晴れあがり、願ってもない絶好の日和りとなってきた。
 車道から2mほどの雪の壁を登った登山路は、朝からの陽射しでかんじきなしでは無理だった。早速かんじきを装着して、9時半に出発とした。
 二日前に降った新雪が15センチほどあったが、人の踏み跡は全く見られない。今日はまだ誰も通っていないようだ。雪面は汚れのない純白で、そこにかんじきの踏み跡を刻み込むここちが実に気分がよかった。


純白の雪原にわが踏み跡のみ(右奥は白雪の粟ケ岳)−'12.3.11 


◆ 南蛮山,石彫の群像たちはまだ雪の下に

 今冬は豪雪に泣かされた。3月に入って雪のかさがかなり減ったものの、ここ南蛮山もまだ深い雪だった。石彫の道の石像群も、ガイドマップの標識板もようやく頭の一部をのぞかせるだけで、まだ深い雪の中でじっと耐えているかのようだった。
 4月に入って桜が咲くころには姿を見せてくれるだろうか。そう言いば、山頂にたどるこの車道の先には、立派な桜の並木が見事なのだ。きっと桜の咲くころ(連休入り頃か?)には車道も開いて、山菜採りも含めにぎわうことだろう。



”石彫の道”の石像群は頭だけで、まだ雪の中だった−'12.3.11 

◆ けものの足跡と雪虫の出現

 15センチほどの新雪の原は、古い雪の雪面によく見られる、すすけたような汚れがまったくない。純白だ。あるのは、けものの足跡だけ。いろんな型の足跡が縦横に沢山残っている。厳冬が過ぎてようやく獣たちが活発に動き回れるようになったことがうかがえる。ウサギだろうか、テンだろうか。想像はするが私にはまったく分からない。
 陽射しがあがり、汗ばむ陽気になってきたとたん、かんじきの足元に小さく黒く蠢く虫が点々と現れてきた。雪虫だ。かなり大きく成長している。いつもこの時期、雪中から生まれてくるように現れ出す。一体どこから出現するのだろうか?不思議に思えてならない。1,000mの高山でもよく見られる。エサがあろうとも思えないのに、よく生きているものと感心させられる。かんじきで踏みつけないよう、いつも避けながら登っている。



”人の踏跡?とも見える獣跡 / 雪虫が蠢きだした−'12.3.11 

◆ 南蛮山山頂まで2時間半

 静かな一人旅。青空が広がる絶好の天候の中、けものの足跡を見ては動物を想像したり、雪虫を踏みつけないよう気を配ったりで、一歩一歩のかんじきの足どりでは、結構時間がかかった。中間点の展望の効く十方台展望地点まで1時間30分を要した。
 ここは長岡の市街が一望できる場所だ。真ん中を信濃川が寂しそうに蛇行していて、まだまだまだ冬景色の姿は変わっていなかった。
 十方台展望地点の先からは、車道を離れ、尾根に上がり、尾根コースを南蛮山頂まで進むこととした。これは、車道沿いのジグザク周回路を大きく短縮できる、冬の南蛮山尾根コースであることを5,6年前に知ったのでした。お蔭で、ここから1時間で山頂に到着することができた。

◆ まずは順調な滑り出し、平穏な山行きを期そう


南蛮山山頂から鋸山越しに見る粟ケ岳−'12.3.11 

 正午ちょうどに山頂に到着となった。山頂は真っ白な平原、左遠くには真っ白に輝く粟ケ岳、右の遠くに魚沼の三山、眼前には鋸山〜萱峠〜猿倉山の連なりが圧倒していた。
 初歩き。深雪ではなかったが、かんじきの足どりでの一歩一歩の前進、心地よい全身の汗と適度の疲労感を味わいながら無事山頂に立つことができた。周囲のパノラマを飽かず眺めながら、あったかいコーヒーいただき帰路とした。
 古希の年のわが山歩きも、こうして無理せず行けば何とかなるだろうか。チョッピリそんな思いを抱かせてくれた、充実の一日だった。

 

南蛮山から遠くが長岡市街地 / 南蛮山山頂休憩所−'12.3.11 

 (H24年3月12日 記)

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