39. 信濃川河原に一本のブナの木

   〜河原に一本のブナ、天高く伸びよ〜

あなたは人目のお客さんです


 信濃川河原に青々と茂ったブナの木 


◆ 信濃川河原にブナの木を移植


 雨の降らない日は毎朝、信濃川堤防を4`ほどウオーキングしている。堤防に沿った道からは、目の前に浅黄色の長生橋がよく眺められ、土手下に目を落とすと左近の桃畑が広がっている。広く目を伸ばすとくるみの木やら、ニセアカシヤの大木も目に入る。季節の変わるごとに浅緑、濃い緑と季節の変化を教えてくれ、目を楽しませてくれている。
 そんな広がりのある左近堤防の河原に、昨年秋一本のブナの木を移植した。まだ幹周りが4〜5a、高さはそれでも自分の上背を超え2M余りはある。果たして地につくか心配もあったのだが、育ってくれればと思い移植したのだった。
右写真 12月移植当時のブナの姿

  ◆ もとは苗場山の実生、10数年来の鉢植えブナ 

 このブナの木、実は10数年前苗場・赤湯温泉の帰り、実生で芽の出ていた苗を植木鉢用に採集して育ててきた思い出の一本であった。自宅改築工事の際、置き場に困って家庭菜園の地におろして4年、段々大きくなってきて先行きを案じての河原への移植であった。
 山を登っていると1,000m前後の中腹に見あげるような立派なブナの巨木をよく見かける。風雪に耐えてよくがんばって生きてきたのだろう。移植したこのブナの木が根を張って将来そのように立派に育ってくれたならいいなあ。いや逆に市民の目から奇異に感じられるだろうか。そんな心配もなかったわけではないのだったが………。
 昨年12月の寒さの中、ウオーキングコースの真下、土手から100mほどの河川敷の原っぱ、草やぶとくるみの木に囲まれた一角だった。将来、このあたりに高規格道路の東西大橋の建設が予定されている付近だが、それをかなり避けた位置と思えるあたり。将来、東西道路建設工事にじゃまされなければいいのだが。

◆ しっかり芽吹き、今は青々と葉茂る 

 草木がようやく目覚めた4月初め、様子伺いに現地へ行ってみた。堅い胞子を破って新葉を出してくれていた。無事根がついたらしい。4月半ばになると立派に葉が茂ってきた。



 左 やぶの中で葉をつけたブナ / 右 向こうのくるみの大木に比してもまだかよわなブナの木 

 5月になるとますます立派に葉っぱが茂りだした。同時に周りの草木も元気を出してきて、今は周りの大木とコゴミのやぶに囲まれてひ弱そうで目立たないが、しっかり成長していることは間違いない。

◆ 長岡の地に天高く伸びよ、苗場山のブナの木 

 山のブナは、伸びると優に20mは超えている。平地のこのブナもそんなに伸びるだろうか。今は、くるみやニセアカシヤの大木が周りを取り囲んでいるが、やがてその木たちを追い越していくだろうか?
 河川敷にそびえる一本のブナの木。想像したらちょっと不釣合いの感じもないではないが、真っ直ぐに伸び、しっかりした構えとけやきのような枝ぶりの一本のブナの木もまたいいのではないか。5年後、10年後このぶなの木がどこまで無事成長してくれるだろうか。楽しみだ。自然環境と人の手に妨げられず、50年、100年と育って行ってほしいものだ。
 65歳のいま、苗場山の実生で10数年前から育ててきた思い出のブナの木を、河川敷に移植して立派に茂りだした。いわば自分にとって記念樹とも言える。たった一本が大樹となった時、たとえ奇異に感じられようとも立派に育ってほしい。秘かに自分の記念樹として見守っていこう。(H19.5.17記)



 左 まだひ弱なブナ(全景) / 右 しっかり茂っている(近景) 

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