事故の想定と放出される放射性物質

柏崎刈羽原発で重大事故が発生した時の「事故の規模」と、その時「放出される放射性物質」を示します。

事故の想定

新潟県は、柏崎刈羽原発6号機が重大事故を起こした場合のシミュレーションを実施しました。ここでは、新潟県が実施した「放射性物質拡散シミュレーション」[16]のケース4と同じ事故を想定します。
事故の概要を下の表にまとめます。なお、事故を起こした6号機の出力は、福島第一原発で事故を起こした1~3号機の合計出力の約半分に相当します。

事故の概要

事故が発生した原子炉 原子炉の形式 定格出力 事故の内容
6号機

改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)
(福島第一原発はBWR)

135.6万kW
(福島第一原発1~3号機の合計は202.8万kW)

圧力容器、格納容器が破損し、フィルタベントを通さず、放射性物質が直接大気中に放出される

事故の時間的な経過

事故が発生してから一定の時間が経った後、格納容器内部の圧力が高くなり格納容器が破損します。新潟県では、事故が発生してから8時間後に格納容器が破損して放射性物質が大気中に放出され、その1時間後に格納容器内のすべての放射性物質が放出されることを想定してシミュレーションが行われました。この時間的な流れを下の図に示します。なお、シミュレーションはすべての放射性物質が放出された後も続けられ、TE時間後に終了します。TEは新潟県が行った拡散シミュレーションでは72時間、独自に行った沈着シミュレーションで24時間に設定されています。
事故のシーケンス

放出される放射性物質

次の図は6号機で重大事故が発生したとき、原子炉から放出される放射性物質の放射能の強さを示しています。図中のI-131はヨウ素131、Cs-134はセシウム134、CS-137はセシウム137を表しています。また、PBqをペタベクレルといい放射能の強さを表す単位です。Pは1,000兆を表し、PBqは1,000兆Bqを表しています。

放射能の時間的な変化

放出された放射性物質の強さは時間と共に減少します。減少の仕方は放射性物質によって異なり、強さが半分になる期間を半減期といいます。I-131(ヨウ素131)の半減期は8日、Cs-134(セシウム134)は2年、CS-137(セシウム137)は30年です。

放出開始から2か月(60日)後までの変化

次の図は原子炉から放出された3種類の放射性物質が、放出開始から2か月(60日)後までの間にどのように変化するかを示しています。2か月後にI-131(ヨウ素131)は最初の値の1%以下に減少しますが、Cs-134(セシウム134)は約3%減少し、Cs-137(セシウム137)は殆ど変化がありません。

放出開始から10年後までの変化

次の図は放出開始から10年後までの変化を表しています。I-131(ヨウ素131)は殆どゼロ、Cs-134(セシウム134)は約97%減少していますが、Cs-137(セシウム137)は約20%の減少にとどまっています。

放出開始から200年後までの変化

 最後の図は放出が開始されてから200年後までの変化を示しています。放出開始から100年後にI-131(ヨウ素131)とCs-134(セシウム134)は両方ともほぼゼロになっていますが、Cs-137(セシウム137)はまだ10%近く残っています。200年後にCs-137(セシウム137)は漸く1%程度になります。

 この結果から、長期間環境に留まって影響を及ぼし続けるのはCs-134(セシウム134)とCs-137(セシウム137)であることがわかります。なお、ここに示した値は原子炉から放出された放射性物質の総量を表しているので、環境に降り注いだ量そのものではありません。しかしこれらの変化を見ることによって、放射能の強さが時間と共に変化する割合がわかります。

土壌中のセシウムの分布

土壌に沈着したセシウムは地表面の近くに留まり、時間と共に少しずつ深い部分に移動しますが、その速度は非常にゆっくりしていることがわかっています。次のグラフの横軸は、事故発生後の日数、縦軸は土壌に含まれているセシウム全体の90%が存在する地表面からの深さを示しています。点線は90%のセシウムが存在する深さの平均を表しており、事故の1年後で約2㎝、6年後に約5㎝になります[2]。